Orchestra Ensemble Kanazawa

5年ぶりの登場となるラルフ・ゴトーニは、フィンランド出身の指揮者兼ピアニスト。ドイツをはじめ、世界各国で活躍するベテランである。ピアノと指揮を兼ねる弾き振りも得意としており、今回はハイドンのピアノ協奏曲で妙技を披露する。

プログラムはバラエティに富んでいる。ハイドンからはピアノ協奏曲の他に、交響曲第83番「めんどり」も演奏される。なぜ「めんどり」なのか。それは第1楽章をしばらく聴けば納得できるはず。コッコ、コッコ、コッコ、コッコ……。

プロコフィエフ作曲、バルシャイ編曲の「束の間の幻影」を聴けるのは、貴重な機会だ。原曲はピアノ曲。おおむね1分ほどのごく短い小曲を集めた、神秘的なスケッチ集といった趣きのある曲集である。これをロシアの指揮者でヴィオラ奏者のバルシャイが、弦楽オーケストラ用に編曲した。バルシャイの編曲といえば、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番を編曲した「室内交響曲」がよく演奏されるが、果たして「束の間の幻影」はどんな風に生まれ変わったのか。原曲よりもスケールアップした幻影がここに。

ベートーヴェンの交響曲第8番は、ダイナミックで快活な曲想が魅力。エネルギッシュなベートーヴェンを聴かせてくれるに違いない。