Orchestra Ensemble Kanazawa

　石川県学生オーケストラとオーケストラ・アンサンブル金沢（OEK）が合同演奏を行う恒例のカレッジ・コンサートは2004年に始まり、今年15回目を迎えた。幅広い年代に対して様々に展開しているOEKの教育活動の中でも、重要な一角を占めるものに育っている。

　特色は三つある。一つ目は、コンサートに向けて学生がOEKメンバーの指導を受け、本番でも隣りに座って演奏する貴重な機会を得られること。これによって学生だけでは到達できないレベルの演奏を体験することが可能になる。二つ目は、学生の自主性が尊重されていること。合同で演奏する作品は彼らの選曲による。演奏においてもどう学生の自主性を引き出すか、OEKメンバーの力量も問われる。そして最後は、若い世代とOEKや石川県立音楽堂の接点として重要であること。このコンサートは地元にプロのオーケストラがあることの喜びを多くの若い世代と分かち合うきっかけになる。

　さて、今年のカレッジ・コンサートは、金沢大学フィルハーモニー管弦楽団と金沢工業大学室内管弦楽団の二団体が参加、指揮台には太田弦が立つ。太田は本年4月より25歳にして大阪交響楽団の正指揮者に就任することが大きな話題を呼んでいる俊英。フレッシュなエネルギー同士の出会いがどんな音楽を生み出すか注目だ。（潮博恵：音楽ジャーナリスト）